その高配当、自社株買いを足したら順位が変わる

総還元利回り(配当+自社株買い)評価ナビ

計算式と、数字の探し方

総還元利回りとは

株主に返ってくるお金には、配当のほかに自社株買いがあります。 配当利回りはそのうち配当だけを見た数字なので、 自社株買いで返している会社ほど過小評価されます。両方を足したものが総還元利回りです。

総還元利回り = 配当利回り + 自社株買い利回り
配当利回り = 1株あたり年間配当 ÷ 株価
自社株買い利回り = 自社株買いの金額 ÷ 時価総額

自社株買いは現金として振り込まれません。会社が買い取った自己株式には配当も議決権もないため、 残った株1株あたりの利益と配当の取り分が増える、という形で効きます。 買った株を消却すれば発行済株式数そのものが減ります。 つまり同じ「還元」でも、配当は手取り、自社株買いは持ち分の濃さになって返ってくる、という違いがあります。 生活費に充てられるのは配当のほうだけなので、その2つはこのツールでも分けて表示しています。

なぜ配当利回りだけで並べると危ないのか

高配当株のランキングは、ほぼ例外なく配当利回りの降順です。そこには2つの死角があります。

1つめ: 見せかけの高配当。 利益のほとんどを配当に回してしまっている会社は、利回りが高く見えます。 しかし配当性向が高いということは、追加の還元をする余力がもう無いということです。 しかも株価が下がると配当利回りは自動的に上がるので、 「業績が悪化して株価が下がった結果、利回りだけが高くなっている銘柄」がランキング上位に並びます。 このツールでは、配当利回りが高く・自社株買いがゼロで・配当だけで利益の8割以上を使っている銘柄に 「見せかけの高配当」の旗を立てます。

2つめ: 取りこぼし。 配当利回りは2%でも、時価総額の5%にあたる自社株買いを決議している会社があります。 総還元でみれば7%ですが、配当利回りのランキングには最後まで出てきません。 2023年3月に東証がプライム・スタンダードの上場企業へ 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請して以降、 自社株買いで還元する会社は増えました。配当利回りだけを見ていると、その増分が丸ごと見えません。

数字はどこにあるか

このツールは銘柄の数字を内蔵していません。以下から写して入れてください。 内蔵しない理由は、自社株買いが取締役会の決議で突然出て、 しかも枠のまま終わることもある種類の数字だからです。 アプリが固定値で持てば必ず古くなり、 「◯◯社の総還元利回りは◯%」という誤った断定として一人歩きします。

  • 株価・時価総額 — 証券会社の銘柄ページ、または取引所の情報ページ。
  • 1株あたり年間配当 — 決算短信の1ページ目、会社予想の年間合計(中間+期末)。記念配当が入っている年は注記を確認します。
  • 自社株買いの金額 — 適時開示の 「自己株式の取得に係る事項の決定」。取得価額の総額(上限)と取得期間が書いてあります。
  • 取得の進捗 — 毎月出る 「自己株式の取得状況に関するお知らせ」。枠のうちどこまで買ったかが分かります。
  • 当期純利益 — 決算短信の1ページ目(親会社株主に帰属する当期純利益)。

取得枠と取得実績は、同じ金額でも意味が違う

自社株買いの発表でよく見るのは「取得価額の総額 300億円(上限)」という書き方です。 これは上限であって、その額を買う約束ではありません。 株価が想定より上がって買い切らないまま期間満了になることもあれば、 逆に期中に枠が増額されることもあります。 だからこのツールでは、入力のときに枠なのか実績なのかを選ばせて、 枠を選んだ銘柄には必ず「取得枠であって実績ではない」と結果に添えています。 枠ベースの総還元利回りは、上限側の数字として読んでください。

「まだ調べていない」を選んだ銘柄は、自社株買いを0円として足しません。 分からないものを0と扱うと、調べていない銘柄が「還元が薄い」と表示されてしまうためです。 その銘柄は配当利回りだけで並び、結果に「未確認」と出ます。

還元の質スコア(0〜100)の配点

並べ替えだけでは「厚いが無理をしている」と「薄いが余力がある」の区別がつかないので、 4つの観点で点を付けています。高いほど「無理のない範囲で厚く返している」という意味です。

  • 総還元利回りの水準(40点) — 返ってくる量そのもの。
  • 自社株買いの厚み(20点) — 配当は一度上げると下げにくいのに対し、自社株買いは余剰資金で機動的にできる。
  • 総還元性向(30点) — 配当+自社株買い ÷ 純利益。100%を超えると、利益ではなく手元資金や借入から返していることになります。
  • 配当性向(10点) — 配当だけで利益をどこまで使っているか。 「高配当なのに自社株買いがゼロ」の裏側にはたいていこれがあります。

純利益や自社株買いを入れていない場合、その項目は0点ではなく配点そのものから外します(分母から抜きます)。 入力していないことが「還元が薄い」という結果になって返ってこないようにするためです。 そのぶん「判定に使えた材料(%)」が下がるので、 数字が少ないうちは結論を強く受け取らないでください。

このツールが判定しないこと

  • 株価が上がるかどうか。総還元利回りが高いことと株価の上昇は別のことです。
  • 減配するかどうか。総還元性向は判断の材料にはなりますが、 減配は最終的に会社の判断であり、ここからは分かりません。
  • 来期も自社株買いをするかどうか。自社株買いは配当と違って毎年やる約束がありません。 翌期に枠が出ないだけで、総還元利回りは静かに下がります。
  • 業種ごとの平均値との比較。出典を添えられない数字をアプリが断定しないため、 比較の相手はあなたが入れた銘柄だけにしてあります。
  • 税金の扱い。配当には課税されますが(NISA以外)、 自社株買いは売らないかぎり課税されません。手取りで比べるときはこの差も効きます。

入力したデータの置き場所

銘柄名・株数・金額・財務の数字は、すべてお使いの端末内(localStorage)にだけ保存されます。 サーバーには送られず、計算もブラウザの中で完結します。 結果カードの共有リンクに載るのは、利回りの数値・銘柄数・件数だけで、銘柄名は含まれません。

自分の銘柄で並べ直す
過去と現在の数字の整理であって、これから起きることの予測ではありません。 ここで出しているのは、あなたが入れた決算・適時開示の数字を 「配当 + 自社株買い = 総還元利回り」という物差しで割り算し、並べ替えた結果だけです。 とくに自社株買いの取得枠は上限であって実行の約束ではなく、 買わずに期間満了になることも、期中に増額されることもあります。 総還元利回りが高いことは株価が上がることを意味しませんし、 総還元性向が低いことは減配しないことの保証にもなりません。 売買の推奨・投資助言ではなく、最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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